環境保護

開発の背景
2005年に熊野古道が世界文化遺産に登録されて以来、吉野熊野国立公園への来訪者が一挙に増えましたが、登山道が深い山岳地域といった特殊事情も重なり、遺産全体のインフラ整備が思うように進まず、特にトイレの問題は深刻で、早急な対策が必要とされました。
循環型し尿対策
世界遺産は第一種特別保護地域で、建造物を立てることは一切できませんし、地面を掘ることも許されません。そこで必要最低限の道具で、かつ登山者参加型の簡易トイレを開発することで環境保全を実施することになり、NPO法人を運営主体とし、県・村を協力機関とする「循環型し尿対策」が行われることになりました。
この「循環型し尿対策」の流れは以下のようになります。
- トイレ設置作業を行い、現地山岳ガイドが処理袋を携帯し、設置ポイントで利用者に手渡す。
- 使用後は利用者が回収ポイントまで持参し、各自で処分する。
- 山岳地区・下界が連携して事業を行い、地元住民の協力の下、トイレの維持・管理・回収を行う。

ラップイン インスタントイレの開発
こうして取り組みが始まった登山者参加の循環型し尿対策ですが、多くの山々も抱えるし尿対策問題([1][2])にどのように対処するか?また道具として使用する簡易トイレには多くの問題がありました。
- 土壌に糞尿することにより、糞便性大腸菌が検出され、地域や生態系に問題が発生する可能性がありました。また人間の糞尿は発酵させなければ肥料にはならないことから、処理済のし尿は下山の際に持ち帰ることが必要でした。
- 微生物により糞尿を分解させるバイオトイレも検討しましたが、山は低温であるため微生物が活動しにくいので、重油を焚いて発電しながら常温(20℃)を維持する必要があります。そのための維持費がかかること、また大気中に硫黄酸化物や二酸化炭素を排出することが問題となります。特別保護地域となったことにより多くの規制がかかり、建造物を建てること、また地面を掘ることなども許されないため、バイオトイレは設置することも不可能となりました。
- 登山者参加型のし尿対策である以上、登山者の方に不自由を感じることなく使っていただく必要がありました。しかし登山者が自らし尿後の汚物を持参するため、中身や臭いが外に漏れ出すと二度と使ってもらえない可能性があり、防臭対策をどのようにするかとの課題ができました。また軽い・簡単・頑丈・清潔というキーワードに代表される機能を如何にして実現するかが課題となりました。
山岳地帯でのあらゆる場面を想定し生まれた「ラップイン インスタントイレ」は、環境保護を目的に、最も有効な素材と、最小限のパーツで設計することで問題を解決しました。
トイレ本体は地元NPOや山岳ガイドの皆様が設置ポイントまで運びますので、
・ 軽い…700g!
・ 簡単…組立は1分程度!
また多くの人が使用しますので、
・ 頑丈…垂直耐圧250kg!
・ 清潔…水洗いOK!
また処理セットは、一度に多くの人が使用するため、
・ 早く交代できる…両面吸水ポリマーシートで吸水時間を短縮しました。
・ 消音…シートで吸水するため、消音効果が得られます。
使用後は各自回収ポイントまで所持
特殊素材の断臭袋とストッパーバンドを使用することで臭いによる不快さを防止できます。
※断臭袋は一般ではあまり使用されないポリブチレンテレフタレート(PBT)製の袋で、嫌な臭いを約10日間閉じ込めることができます。また袋の口部分をしっかり縛るために、特殊な形状をしたストッパーバンドを採用することで簡単にフックするだけで解決できました。
・詳しくは製品仕様をご覧下さい。


